未熟な甲虫の呟き

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ツイノベ三篇

◆或いは諦めにも似た


「私がなぜ怒っているのかわかるか?」
 ナイフの柄を握る指――関節が白く浮き上がった華奢な指――を、血濡れた手が鷲掴みにする。
「教えただろう。急所は、ここじゃない。もう少し、上だ」
 灰色の瞳にのみ僅かに苦痛を浮かばせ、師が微笑んだ。
「いつまでたっても、お前は詰めが甘いな」

(137文字)
 
 
 

◆或いは糾える縄のように


「いいえ、これでいいんです」
 彼のただ一人の弟子は、今にも震えそうになる歯の根に力を込めながら、囁いた。
「もう少しだけ、あなたと話がしたかったから」
「なんだ」
「先生は……、私がなぜ怒っているのかわかりますか?」
 師の薄い唇が、綺麗な弧を描いた。
「分かりたくもないね」

(133文字)
 
 
 

◆#絵文


 六年ぶりに会った幼馴染みは、腹立たしいほどに昔のままだった。だが、安心しきった表情で眠る彼女を見つめるうち、彼の心もまたあの頃に戻ってゆく。一門同士の確執も紛紜も何も知らなかった少年時代に。
 どうやら自分は、はかりごとというものには向いていないらしい。彼はそっと息をついた。

(138文字)
 
 

 限られた文字数で、無理の無いように雰囲気壊さないように情報密度を上げていくのって、楽しいですね。パズルをしているみたいです。

 今まで絵文タグ(このタグがあるイラストには、自由に文章をつけてもよい)は見る専だったのですが、コマさんのイラストがあまりにもツボだったので、発作的にものしてしまいました。案の定推敲が足りなくて、ブログ転載にあたって二文字ほど修正してしまいましたが。
 彼女の幸せそうな寝顔も、その寝顔に魂吸い取られてしまってるような彼の眼差しも最高です。個人的に、彼の右手首にも大層萌えました(揺るぎのない手フェチ)
 コマさん、眼福をありがとうございました!
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