未熟な甲虫の呟き

創作小説サイト「あわいを往く者」附属ブログ。(サイト掲載小説一覧書籍のご案内
   

バレンタイン・カウントダウン その一

 実は、オフラインが少々切羽詰っておりましてね……。春になれば少しは落ち着いて物書きできるかな……。
 とりあえず、バレンタインネタを幾つか思いついたので、ざっくり記しておくことにしました。「その一」とありますが、「その二」が書けるかどうかは神の味噌汁。(脚本形式ならすぐに出せるんですがね……)

 まずは、先月配信開始した「呪いの解き方教えます」の二人。作中時間と微妙にバッティングしているような気がしますが、そこはそれ、名探偵コナン時空みたいな感じで!



 珊慈がローテーブルの上にコーヒーの入ったマグカップを並べるなり、理奈が綺麗にラッピングされた小箱を勢いよく差し出してきた。
「はい、バレンタインのチョコ、どうぞ!」
 向日葵のような満面の笑みが彼女らしいと言えば彼女らしいのだが、もう少し勿体ぶってみたりとか恥じらってみたりとか、そういう駆け引き的演出は無いのだろうか。無いな、と、珊慈は即座に胸の内で呟いた。そもそも、向日葵好きと向日葵の組み合わせなのだから、そこに何も不都合はない。
「ありがとう」
 珊慈が心からの笑顔を向けると、理奈の顔が一気に赤くなった。これも実に彼女らしい。
 小箱には、珊慈も良く知っている有名洋菓子店の名前があった。凝った包装はまるで宝箱のようで、これを選んだ時の理奈の表情が簡単に想像できて、珊慈は思わず頬を緩ませた。
「あけてみないの?」
 と、テーブルの端に置かれたチョコの箱を指さして、理奈が問うてくる。
「あけてほしいの?」
 質問に質問で返してみれば、理奈は、もじもじしながら更に質問を打ち返してきた。
「どんなチョコか気にならない?」
「……あけてほしいんだね」
「アッ、いえ、そういうわけではない、わけでもない、ような、何と言うか、ええと、その」
 理奈が、激しく動揺している。どうやら図星を差されたようだ。 
 ホント、見飽きないなあ、と、心の中でだけ思いっきりニヤニヤ笑いながら、珊慈は淡々と小箱の包装を解いた。
 箱の中には、小さなマスコットみたいなチョコが、大小合わせて四つ入っていた。中に入っていた栞によると、童話をモチーフに造形したものらしい。
「へえ。可愛いチョコだねー」
 理奈が「でしょ、でしょ!」と目を輝かせるのを見て、珊慈は思わず口元に笑みを浮かべる。
 高校の時に、絵にかいたような義理チョコ――お徳用大袋入りチョコの一つ――を理奈から貰ったことはあったが、これは正真正銘の本命チョコだ。ゆっくり大切に味わわせてもらおう、と思って、珊慈が箱に蓋をすると、またもや理奈が、おずおずとチョコの箱を指さしてきた。
「食べないの?」
 その瞬間、珊慈の脳裏に閃くものがあった。
「……食べたいんだね」
 珊慈の問いかけに対し、理奈は面白いほど勢いよく首を横にぶんぶんと振る。
「いやいやいや、流石の私も、そこまで厚かましくは……!」
「本当に? 味見、したくない?」
 ちらりと箱の蓋をあけてみせるだけで、理奈はいとも簡単に陥落した。
「あー、えーと、そのー、ええ、まあ、どんな味か、ちょっとは気になるかな……」
「じゃあ、一つどうぞ」
「ありがとー! って、ええっ、ちょっと待って、ナニその『あーん』って!」
「チョコのお礼に食べさせてあげるよ。はい、口あけて」
「いや、それは、流石に恥ずかしすぎるというか!」
「じゃあ、ポッキーゲーム的に」
「イキナリ至近距離!」
 
 珊慈が淹れたコーヒーは、結局一度も口をつけられないまま冷め切ってしまうことになったのだった。 
 
 


 そういえば、先日、リア友に「こんな、リア充爆発しろみたいなシーン、どんな顔で書いてんの?」と訊かれて、「真顔でな!」とドヤ顔で答えましたん。

 物語と、それを書いている自分を、しっかり切り離してこそ、ですね。と、ここでは真面目に言っておきます。
拍手
 

同じカテゴリの記事

 

コメント

コメントの投稿

※スパムコメント対策実施中。メールアドレス及び「@」は入力しないでください。
 ブログ管理者以外には秘密にする

トラックバック

TrackbackUrl:https://greenbeetle.blog.fc2.com/tb.php/811-cd5f9513
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
 

新着

■コメント
2021/01/14:GB(那識あきら)
2021/01/12:へい
2018/09/07:GB
2018/09/07:冬木洋子
2017/11/30:GB
■トラックバック
2010/09/05:はやぶさが来るよ!

書籍

『リケジョの法則』表紙
『リケジョの法則』
¥647+税
発行:マイナビ出版

電子書籍近刊

『工作研究部の推理ノート 七不思議を探せ』表紙
『工作研究部の推理ノート 七不思議を探せ』
¥550
発行:パブリッシングリンク

更新通知登録ボタン

更新通知で新しい記事をいち早くお届けします