未熟な甲虫の呟き

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ファン文庫Tears『猫の泣ける話』に短編を書き下ろしました

 6月11日に発売された『猫の泣ける話』に、「猫と姉さんと私」という短編を書き下ろしました。

猫の泣ける話 表紙 引っ込み思案な女子大学生が、サビ猫をモフモフする物語です。
 書誌情報や主な販売サイトへのリンクは、いつもどおりこちらにまとめてあります。

 猫飼いあるあるを山ほど詰め込むつもりだったんですが、文字数が足りなくて幾つかネタを諦めました……。窓越しに雀に変な声で話しかけるとか、トイレ後のダッシュで椅子の足にぶつかるとか、「だるまさんがころんだ」から我に返るとか……。


 我が家の猫様は元々捨て猫でした。公園の片隅、雑草の生い茂る植木の陰に、きょうだいと思われる他の仔猫達と一緒に段ボール箱に入れられ放置されていたのです。

 その日、近所のご婦人がたが深刻な顔で公園の草むらの中に立っているのをたまたま見かけ、何事かと覗いてみると、前述したような小さな仔猫達がミャーミャー言いながら互いにじゃれ合っていました。黒と白黒とサビの三匹です。状況が分からないまま、私は反射的に「猫だ」と声を上げてしまいました。

「アラGBさん猫好きなの? 飼ったことある?」
「飼ったことはないですが好きですね」
「この子たち捨てられたみたいなのよ。GBさん、飼えない?」
「ハァ!?」
「ウチは賃貸で無理だから」
「私も」
「私は家族が駄目って……」
「いや、でも、私、ザリガニよりも高等な生き物を飼ったことなくて」

 躊躇う理由が経験値だけということを見抜いたご婦人がた、「このままだとすぐに死んでしまう」「可哀想だと思わないか」「飼い方なんて調べたらすぐ分かる」と大攻勢です。ここで首を縦に振らないと人非人認定されそうだし、何より目の前には保護を待っている猫がいる。ねこはいます。ねこかわいい。

 もう一匹茶トラの子もいたが、二日ぐらい前に誰かに拾われていった、とのことでした。つまりこの仔猫達は少なくとももう三日はこの公園でひもじい思いをしているということになります。私が悩みに悩んでいると、黒の子が足に顔を擦りつけてきました。もう無理。こんなん絶対無理。私は腹を括りました。

「じゃあ、この黒い子を連れて帰ります」
 他の子を置いていくのは心が痛みましたが、イキナリ三匹は初心者にハードルが高すぎます。
 そして喝采するご婦人がた。
「なんか無理を言ったみたいでごめんなさいね」
「困ったことがあったら相談してね」
「私も、もう一度家族を説得してみようかな……」

 後日、家族の説得に成功したご婦人が白黒の子を保護したと聞きました。
 最後に残ったサビの子がどうなったのか、残念ながら私は知りません。優しい人に拾われていたらいいなあ、と思ってこの話を書きました。

 猫にまつわる、胸熱くなる十二篇の物語、どうぞよろしくお願いいたします。

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