未熟な甲虫の呟き

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大切なのは字面と雰囲気

 異世界ファンタジーを創作するに際して、サンドイッチやガッツポーズといった現実世界に由来する単語を使用することの是非がツイッタ上で物議を醸していたのを受けて、ちょっと呟いたことをまとめておきます。
 奥沢一歩さん(『燦然のソウルスピナ』(大判/文庫版)発売中!)からいただいた引用コメントも、許可を得て一緒にまとめさせていただきました。

現実世界に立脚する用語や慣用句を異世界ファンタジーに登場させることについて、私は「異世界の出来事を現代日本語訳しているんだ」派です、が、言葉の字面や雰囲気は物語に合わせて選びたいと思っています。近世風世界で悲劇を描く際に火事の場面で「バケツリレー」って単語は使いたくないな、とか。
posted at 2020/7/15 22:31:15
だって、バケツリレーって聞くと、プラスチック製の青いバケツが頭の中にポップアップするんですよ……私だけかもしれませんが………。
posted at 2020/7/15 22:45:00
ていうかファンタジーに限らず現代物でも雰囲気に合わせて単語を選ぶしなあ。「炭酸水の泡が弾けるように」「麦酒の泡が(以下略」「蟹のあぶくが(以下略」「腐臭漂う沼のみなもが(以下略」
炭酸水にしても、炭酸飲料、ソーダ、ソーダ水、サイダー、と、場面にベストマッチな言葉を探すわけで。
posted at 2020/7/15 22:45:45
だから、物語の雰囲気や字面に違和感がなければ、好きな単語を使えばいいんじゃないですかね……。
posted at 2020/7/15 22:51:00
昔、戦国BASARAってゲームで伊達政宗が「独眼竜は伊達じゃねえ!」って言った時、「伊達」って単語の由来うんぬんよりも、「お前は『伊達(人名)』だろう!」ってツッコミ入れてたもんなあ。あの世界観なら、別に伊達政宗当人が「伊達」って言っても全然アリだと思う。※個人の感想です
posted at 2020/7/15 22:53:52
 いやまあ最後の例(?)は、ある意味ネタみたいなものですが。

 そして、選ぶ単語によって、文章はもとよりそこに描かれた登場人物についてのイメージまで変化してしまう、という実に見事な具体例が、奥沢さんによるこのツイート(上記の「ファンタジーに限らず現代物でも」のツイートへのコメント)です。
これはわかるなあ。バーの場面でカクテルの製法説明するとき「リキュールを注いで、その上からソーダでフルアップ。軽くステアして最後にレモンピールを散らします」ってやるもんなあ。

「お酒を入れて、炭酸水をいっぱいまで注いで、軽く混ぜてレモンの皮を散らします」ではやはりキレが悪いし。
twitter.com/typ1/status/12…
posted at 2020/7/16 7:43
 前者と後者とで、話者の人となりとかその場の状況とかがまるで違って感じられるのが、ホントすごい。

 でもって、最初のツイでのバケツリレーうんぬんは、「紅玉摧《くだ》かれ砂と為る」の「絡み合う糸 (2)」でのことでした。「バケツリレー」という単語を使わずにバケツリレーを描写するのが超面倒臭かったです。何度「もうココ『バケツリレーを開始した』でよくない?」と思ったことか。
 でも「バケツリレー」って字面が強すぎて、そこで思いっきり意識が現実に引き戻されちゃうんですよね。皆で一丸となって火を消そうとしてる、ということをさらっと示したかっただけなのに。
 ちなみに、実際の描写はこうなりました。
 半鐘を聞いて駆けつけたのだろう、広場には、水桶を持った近所の人々が集まってきていた。坂を少しだけくだったところにある溜め池から水を運ぶべく、炎に向かって一列に並んでゆく。ラグナ達が列に加わるのとほぼ同時に、水の入った桶が、広場へと順に送られてきた。

 まあ、要するに書き手としては、サンドイッチ伯爵の存在が気になる人は「干し肉を挟んだパン」と書けばいいし、ガッツ石松さんの顔がチラつく人は「感極まって両のこぶしを握り締めた」と書けばいいわけで、そして読む側に立った場合は、「自分とは若干センスが合わないな」と思いこそすれ、書き手に文句をつけるものではない、というあたりで落ち着く話なのではないかなー、と思っています。
 そもそも仏教由来の言葉封じられたら、驚くほど沢山の単語が使えなくなるもんなー。どれが良くてどれが駄目とか、所詮は趣味とかセンスの話になっちゃうんですよ……。
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