未熟な甲虫の呟き

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2020年 09月の記事
2020/09/12
創作話] 君(中世ヨーロッパの城にある屋上のデコボコ)の名は。 
2020/09/05
創作話] 大切なのは字面と雰囲気 
2020/09/05
創作話] 九十九ネタのツイまとめ5 

君(中世ヨーロッパの城にある屋上のデコボコ)の名は。

 覚書を兼ねて。

 中世ヨーロッパの城塞といえば、塔の屋上や城壁のてっぺんにある、凸凹型のシルエットが特徴的です。
 ファンタジー小説を書くにあたって、中世ヨーロッパ風の城塞で登場人物達に戦闘や冒険をさせようとした時、あのデコボコをどう書き表したらいいのか悩むじゃないですか。
「凸部」や「凹部」でもいいといえばいいんですが、「凸」も「凹」も漢字の字面が強くて文章の雰囲気に合わない場合もあるし、きちんとした名称があるのならそれを使いたい。

 せっかくなので以前調べたことをまとめておくことにします。

◆凸凹の壁
 これは鋸壁《きょへき》といいます。子供の頃に何かの本で「のこぎりかべ」って読んでいたけれど、これはルビがあったのか勝手に自分でそう読んでしまっていたのか分かりません。漢字で書けば一緒だし、小説に登場させる分には気にしないことにしてます。

◆凸部
 マール社発行の『中世ヨーロッパの城塞』には「メルロンと呼ばれる小壁体」(p.33)とあります。
 英語版ウィキペディアによると、メルロンという言葉は、ラテン語のメルガ(熊手)が由来のイタリア語のメルローン(古い要塞の城壁にある大砲を保護するための厚い石積みの避難所)から更に変化したフランス語、だそうです。ちなみに英語だと「マーロン」と読むようです。

◆凹部
 これがちょっとややこしい。メルロンの時と同じ『中世ヨーロッパの城塞』から少し引用します。
 胸壁とは築城の上部のことである。通常、胸壁には敵の投射から城兵を守るためにクレノ―が設けられた。(中略)クレノ―付き胸壁はアンブラジュールと呼ばれる開口部とメルロンと呼ばれる小壁体の連続からなっている。(p.33)
 ということは、凹部はアンブラジュールというのだろう、と思ったら。p.35にある図解では凹部にクレノ―と書いてある。
 しかも、辞書で調べるとクレノ―(créneau)はフランス語で「隙間、狭間、細長い開口部、窓」という意味だそう。ちなみに英語だとクレネル(crenel)。
 私はフランス語は字母すらまともに読めないため、英語版ウィキペディアでクレネルを調べたら、Embrasureにリダイレクトされました。曰く、エンブラジャーという言葉はフランス語(アンブラジュール)が由来の、クレネルと呼ばれる開口部、とのこと。
 どうやら、大雑把にいうと クレノー=アンブラジュール のようです。しかしわざわざ二つの言葉が存在するということは、両者には何か厳密な定義の違いがあって使い分けているのかもしれません。それとも、単に同じ意味の単語を雰囲気で言い換えているだけなのでしょうか。このあたり、もっと専門的な資料を探せば答えが出るのかもしれませんが、小説を書く時間がなくなってしまうので、残念ながらここで切り上げておくことにしました。誰かご存じの方、いらっしゃったら是非教えてください。

◆まとめ
→ 凸凹の壁=鋸壁
→ 凸部=メルロン(仏)=マーロン(英)
     =小壁体
→ 凹部=クレノー(仏)=クレネル(英)
     =アンブラジュール(仏)=エンブラジャー(英)
     =隙間、狭間、開口部、窓


 で。ここから個人的な好みの話になるのですが。
 以上のことを調べた上で私は小説を書くに際して、メルロンもクレノーもアンブラジュールも使いませんでした。馴染みのないカタカナ語って、パッと見た時に人名や地名と混同されそうだな、と思って。ていうか、私なら混乱するわ。「メルロン、誰よ?」って。
 初出時に情景描写や説明と共に名称を記しておけば、以降は「メルロン」「クレノー」といったふうに一単語で記述できるのはとても便利なんですが、いかんせん素人には字面と対象物のイメージがなかなか一致しない。

 そんなわけで私は、日本語訳である「小壁体」と「矢狭間」を小説本文において使用しました。
 実際の文章はこんな感じ。
塔の屋上は、壁が大人の腰までの高さしかない矢狭間と、大人が頭まで隠れることのできる小壁体の、でこぼことした繰り返しでぐるりを囲まれていた。
 漢字ならば、知らない単語でも大雑把に意味を掴むことができるじゃないですか。「たぶん壁の一種なんやな」とか「この開口部から矢を射るんやな」とか、深く考えずにスーッと読み通してもらおうという作戦です。だって、この場面での主題は登場人物達の行動であって、鋸壁そのものではなかったので。

 クレノーを「矢狭間」と訳したことについては、少しばかり説明を付け加えておきます。上の写真にあるように、小壁体に切られた細長いスリットこそが「矢狭間」と呼ばれるべきものなのですが、私の小説に登場する城の小壁体にはそういう細工がほどこされていない設定なことと、「隙間」も「狭間」も「開口部」も普遍的な性質が強すぎてこの場面にはそぐわないような気がしたことから、敢えて「矢狭間」を選びました。前述のとおり「この開口部から矢を射るのだ」と、そして、「この開口部に立てば矢の的になるのだ」とイメージしてほしかったからです。


 とはいえ、そもそも物語において、鋸壁の凸部や凹部がそれぞれ重要な役目を担っているのでなければ、各部名称をいちいち書き表す必要はない、とも思っています。
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大切なのは字面と雰囲気

 異世界ファンタジーを創作するに際して、サンドイッチやガッツポーズといった現実世界に由来する単語を使用することの是非がツイッタ上で物議を醸していたのを受けて、ちょっと呟いたことをまとめておきます。
 奥沢一歩さん(『燦然のソウルスピナ』(大判/文庫版)発売中!)からいただいた引用コメントも、許可を得て一緒にまとめさせていただきました。

現実世界に立脚する用語や慣用句を異世界ファンタジーに登場させることについて、私は「異世界の出来事を現代日本語訳しているんだ」派です、が、言葉の字面や雰囲気は物語に合わせて選びたいと思っています。近世風世界で悲劇を描く際に火事の場面で「バケツリレー」って単語は使いたくないな、とか。
posted at 2020/7/15 22:31:15
だって、バケツリレーって聞くと、プラスチック製の青いバケツが頭の中にポップアップするんですよ……私だけかもしれませんが………。
posted at 2020/7/15 22:45:00
ていうかファンタジーに限らず現代物でも雰囲気に合わせて単語を選ぶしなあ。「炭酸水の泡が弾けるように」「麦酒の泡が(以下略」「蟹のあぶくが(以下略」「腐臭漂う沼のみなもが(以下略」
炭酸水にしても、炭酸飲料、ソーダ、ソーダ水、サイダー、と、場面にベストマッチな言葉を探すわけで。
posted at 2020/7/15 22:45:45
だから、物語の雰囲気や字面に違和感がなければ、好きな単語を使えばいいんじゃないですかね……。
posted at 2020/7/15 22:51:00
昔、戦国BASARAってゲームで伊達政宗が「独眼竜は伊達じゃねえ!」って言った時、「伊達」って単語の由来うんぬんよりも、「お前は『伊達(人名)』だろう!」ってツッコミ入れてたもんなあ。あの世界観なら、別に伊達政宗当人が「伊達」って言っても全然アリだと思う。※個人の感想です
posted at 2020/7/15 22:53:52
 いやまあ最後の例(?)は、ある意味ネタみたいなものですが。

 そして、選ぶ単語によって、文章はもとよりそこに描かれた登場人物についてのイメージまで変化してしまう、という実に見事な具体例が、奥沢さんによるこのツイート(上記の「ファンタジーに限らず現代物でも」のツイートへのコメント)です。
これはわかるなあ。バーの場面でカクテルの製法説明するとき「リキュールを注いで、その上からソーダでフルアップ。軽くステアして最後にレモンピールを散らします」ってやるもんなあ。

「お酒を入れて、炭酸水をいっぱいまで注いで、軽く混ぜてレモンの皮を散らします」ではやはりキレが悪いし。
twitter.com/typ1/status/12…
posted at 2020/7/16 7:43
 前者と後者とで、話者の人となりとかその場の状況とかがまるで違って感じられるのが、ホントすごい。

 でもって、最初のツイでのバケツリレーうんぬんは、「紅玉摧《くだ》かれ砂と為る」の「絡み合う糸 (2)」でのことでした。「バケツリレー」という単語を使わずにバケツリレーを描写するのが超面倒臭かったです。何度「もうココ『バケツリレーを開始した』でよくない?」と思ったことか。
 でも「バケツリレー」って字面が強すぎて、そこで思いっきり意識が現実に引き戻されちゃうんですよね。皆で一丸となって火を消そうとしてる、ということをさらっと示したかっただけなのに。
 ちなみに、実際の描写はこうなりました。
 半鐘を聞いて駆けつけたのだろう、広場には、水桶を持った近所の人々が集まってきていた。坂を少しだけくだったところにある溜め池から水を運ぶべく、炎に向かって一列に並んでゆく。ラグナ達が列に加わるのとほぼ同時に、水の入った桶が、広場へと順に送られてきた。

 まあ、要するに書き手としては、サンドイッチ伯爵の存在が気になる人は「干し肉を挟んだパン」と書けばいいし、ガッツ石松さんの顔がチラつく人は「感極まって両のこぶしを握り締めた」と書けばいいわけで、そして読む側に立った場合は、「自分とは若干センスが合わないな」と思いこそすれ、書き手に文句をつけるものではない、というあたりで落ち着く話なのではないかなー、と思っています。
 そもそも仏教由来の言葉封じられたら、驚くほど沢山の単語が使えなくなるもんなー。どれが良くてどれが駄目とか、所詮は趣味とかセンスの話になっちゃうんですよ……。
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九十九ネタのツイまとめ5

うわー!!!!ありがとうございます!ありがとうございます!!! ネット小説リンク集「異世界風土記」の管理人ヌーさんが、「九十九の黎明」のご感想を °˖✧実況✧˖° してくださいました!! ものすごく嬉しいです幸せです!!
引用ツイ>twitter.com/fudokift/status/12…
posted at 2020/6/20 10:19:55
「異世界風土記」とは、異世界の気候や地勢、そこで暮らす人々の生活に社会のありさま、文化文物を味わえるファンタジー小説を集めたリンク集です。

異世界風土記
風土記系FTまとめ

 なんと、どなたかが「#風土記系FT」として「九十九の黎明」を情報提供してくださったとのこと。ありがとうございます、光栄です!! 鋭い考察や楽しいツッコミがホント最高ですので、九十九既読の方は是非とも上のツイート内のリンクからスレッドをご覧ください。ああ幸せ。
 嬉しがりの私は、ヌーさんのご感想に合わせてここぞとばかりに自作語りを展開させております。これらもそのうちブログにまとめようと思っています。

身長比較したったー
https://hikaku-sitatter.com/
早速やってみるよね……(˘ω˘)
ビジネスマンになってるモウルwお前本当に美味しいな(ネタ的な意味で)。さりげなくオーリの名前が見切れているのもポイント高いです(やはりネタ的な意味で)。

posted at 2020/5/30 10:00:14

澤ノ倉クナリさんが!九十九の黎明のワンシーンを!漫画にしてくださいました!!!!!ありがとうございます!!!!
ちょっとまだ興奮冷めなくて語彙がアレなんですが、モウルの存在感とかウネンの可愛さとかオーリのプロ(プロ??)にしかわからない微かな笑みとかホント最高なので見てください!
引用ツイ>twitter.com/sawanokurakuna…
posted at 2020/7/11 22:27:17
 この↑「オーリのプロ」という謎ワードからの、お約束のフレーズ↓
@minila00 ナレーター「オーリのプロの朝は早い。まだ夜が明けきらぬ前から、オーリが朝の鍛練を始めるからだ。
『まぁ、好きで始めた仕事ですから』
今年でオーリ歴○年のプロは、そうはにかんだような笑みを浮かべた」
posted at 2020/7/13 09:07:38

Picrewの「なさや式CPメーカー」でつくったよ! picrew.me/share?cd=awyK8… #Picrew #なさや式CPメーカー
フォロワーさんとこの某姉妹がすごく尊かったので、九十九のウネンとイレナでやってみました! 可愛い!

posted at 2020/7/21 07:50:09
 なさやさんのツイッタアカウントはこちら

『3人組(友達、タレント、アニメキャラなど)で良好な関係が築けている場合、必ずcool、cute、passionのいずれかの役割をそれぞれが満たしている。らしい』 というやつをウネン達で考えようと思ったんだけど、微妙に難しくない????
posted at 2020/7/21 18:09:36
「cuteは確定してるとして、coolは僕かな」
「passionが俺か?」
「僕がpassionだとでも?」
「オーリやモウルよりもぼくが一番passionっぽくない?(ささやかな抵抗」
「オーリがcuteだって言うのかい?」
「お前がcoolだと決まったわけじゃないだろう」
「ぼくにいい考えがあるよ!くじで決めよう」
posted at 2020/7/21 18:10:45
別にウネンはcuteと言われるのが嫌だというわけではなくて……

「ぼくだって、もう一年……いや二年……三年もしたら、もっと背が伸びるので!!!」

……だそうですw
posted at 2020/7/21 18:25:18
 真面目な話、passion枠はウネンだと思うんですよ。でも、確かに cute枠はウネンしか当てはまらなさそうだし。
 オーリかモウルのどちらかが passion に溢れてたらすんなり決まるんだろうけど、あいつら揃いも揃って淡々としてるもんなあ……。かといって、cool かと言えばちょっと首をかしげたくなる時もあるし。
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書籍

『リケジョの法則』表紙
『リケジョの法則』
¥647+税
発行:マイナビ出版

電子書籍近刊

『工作研究部の推理ノート 七不思議を探せ』表紙
『工作研究部の推理ノート 七不思議を探せ』
¥550
発行:パブリッシングリンク

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