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去年12月の出来事なので今更と思われるかもしれませんが、
VTuberの夜見ベルノさんに「九十九の黎明」(
カクヨム /
なろう)を読書実況していただいたレポートです!
前回、ぷち実況枠で読んでくださった分の続きとなります。
12月からこっち、ホント忙しかったり体調崩したりでブログ書く精神的余裕が全然なかったからね……でも、ツイッタはログが流れていってしまいますし、そもそもツイッタしておられない方にも是非お知らせしたくてね……どうか広い心でお付き合いくださいませ。
ベルノさんに読書実況していただいたのは今回で四回目です。記事に新しく「読書実況」のタグを設定したので、過去の記録は上部メニューバーの「小説別アーカイブ」(これがタグ一覧表示になっています)か、記事末尾の「▸読書実況」でご覧になれます。
◆
【読書実況・積読崩し】 九十九の黎明【 Mi→RiSE / #夜見ベルノ】 前回は「謎の囁き」を読んでくださったので、今回は2ページ目の「秘伝の書」からです。
赤い瓦というのは、ベルノさん自身が仰ったように
いわゆる西洋瓦というやつですね。
殴るという愛情表現w 「殴るわよ」なんて言ってますが、せいぜい後ろ頭をペシンとはたくぐらいで、シモンも「ありがとうございます」ってヘキは持っていないので、ご安心?くださいww
初登場、
ミロシュの貫禄ある声!
そして
イケボのオーリ再び! そう、正確な地図は軍事機密になってしまうんですよね。
「驚いた顔はできるんだ」……ここの声音というか声の調子が最高でしたw
そのあとの
「三日間も……」のあとの察しの良さ…… (*´艸`*)
ベルノさんもリスナーさんも見事に伏線を、それも回収時に「あの時のアレは!」となるというよりも再読してやっと「これは!」と気づくレベルのものを気にしておられて驚きました。思わせぶりなネタに関しても、ものすごく鋭いコメントをされていて、読解の精度の高さにただひたすらに感服します。
何人かの方が楽しみにしてくださっていた「胡散臭い魔術師」の登場は、残念ながら時間切れとなってしまいましたが、かの人物の勿体ぶった性格にぴったりというか、オチ要員の面目躍如というか、どこまでも美味しいキャラだな、なんて思いましたね。
いやもう本当にとても楽しい時間を過ごさせていただきました。ベルノさん、ありがとうございました!
風土記系競作「調」参加作品への感想ツイートをまとめました。
全23作のうち私のものを除いた22作分です。
多種多様な世界がたっぷり味わえてとても楽しかったです。どれも一万字までの短編なので、是非皆さんもいろんな世界を旅してみてください。
素敵な物語を読ませてくださった皆さん、企画運営してくださったヌーさん、ありがとうございました!
【関連記事一覧】
「切々と望む」「切々と望む」こぼれ話ツイートまとめ風土記系競作「調」 参加作品の感想
またしても
VTuberの夜見ベルノさんに、今回は「
九十九の黎明」を読書実況していただきました! ありがたいことに、今回で三回目となります(→
一回目「アルノルド・サガフィの帰郷」 →
二回目「夜風は囁く」)。
◆
【Web小説朗読・ぷち読書実況】 縁側のあなたと【Mi→RiSE / #夜見ベルノ】 今回は読書実況作の選には漏れて、ぷち実況枠に辛うじて拾っていただけました。いやぁだってそりゃそうよ、
面白そうな作品があれだけ沢山並んでいたら、そう簡単には選ばれませんって。ぷち実況に残れたのは本当に運が良かったと思います。投票してくださった方々、ありがとうございます、ありがとうございます!
そして当日、前半の朗読が私の大好きな作品だというのを知り、自作の実況前からテンション爆上げでした。「
縁側のあなたと」、穏やかな語り口で描かれる、しっとりとした情景。月影にまたたく星を目で追うような心地になる短編ですよ。未読の方は是非!
九十九の読書実況が始まるのは
39:35。動画の途中にピンポイントでリンクできるんですね。GBは一つ賢くなった。
あらすじの段階で「笑顔が胡散臭い」に反応いただけたの、思わず顔がにやけてしまいましたね! 刺さりましたか、嬉しいなあ! リスナーさんがこうやってコメントくださるのが本当に楽しいです。
まさかサイトの頂き物イラストの存在にも言及していただけるなんて思ってもいなかったので、びっくりしつつ大喜びしてました。あらすじに書いておいてよかったw どのイラストも本当に素敵なので、お時間のある時に是非見てみてください!
ベルノさんもリスナーさんがたも、皆さん読書の精度が高くて、「そう、そこ、苦労したんです」「まさにそのとおり」って何度も画面のこちら側で頷いていました。
特に、イレナが酒場でおっちゃんに「イェゼロ一番の剣の腕前を持つおじさんにしか頼めないもの」って言う箇所、「おだてて乗せる目論見も何割かありそう」と看破された時には、思わず「スルドイ」って書き込んでしまいました。おっちゃんを褒めて気分良ーくさせたら、「そこまで言われたら仕方がないなあ」と引き受けてくれるんじゃないか、ってイレナは考えてたんですよね。
ヘレーさん is 誰? のあたりも、ほんと的確にこちらの意図を読み取ってくださってるの、ウレシイ……ウレシイ……。
そして、そして、謎の剣士(オーリ)の登場シーン!!
以前に読んでいただいた「アルノルド~」や「夜風~」にて、若者からイケジイまで自由自在なベルノさんのイケボっぷりに惚れ惚れしていたんですが、まさかここにきて更なるタイプのイケボを拝聴することになろうとは……!
耳にした瞬間、
「すご……」
って、しばし絶句してしまいました。なにこの素晴らしい低音ボイス。めちゃくちゃカッコイイ。素敵すぎる……。
ここに至るまでも、おっちゃんの見事なおっちゃんっぷりとか、きちんとイレナなイレナとか、少年っぽくて解釈完全一致のウネンとか、最の高だったんですが、オーリの一言目聞いて「優勝」ってなりました。声の表情だけで寡黙さが伝わってくる。これはすごいことですよ……すごい……。
一番の見せ場wの踏んだとこも、沢山反応いただたけて大喜びしてました。楽しい~!
そうなんです、シリアスで剣呑な最初の印象から、ちょっと肩の力を抜いてもらえたらいいな、と思ってこうなりました。まぁ、あとは、単に私が「ここは踏むやろ」って思ったからなんですが。
皆さん、細かいところまでしっかり読み取ってくださるの、本当に嬉しかったです。
ベルノさん、貴重な機会をありがとうございました!
ブクマ代わりにまとめておきます。
(当初
note を使ってたんだけど、データバックアップを取ることができないと知って、念のためこっちにも貼りつけておくことにしました……)
前回「アルノルド・サガフィの帰郷」を読んでくださった
VTuberの夜見ベルノさんが、今度は「夜風は囁く」を読書実況してくださいました!!
◆
【読書実況】 夜風は囁く【夜見ベルノ】 前回は読書実況作の選には漏れて、敗者復活の「ぷち読書実況」枠に滑り込んでの配信でしたが、今回はなんとか予選を通過することができました!
→
【読書実況予選】 あらすじ朗読会 2021年10月の部【夜見ベルノ】 票を入れてくださった皆さん、ありがとうございます!
嬉しがって、当日のお知らせツイートも以下に貼りつけておきますね。動画バナーにもババーンと拙作のタイトルが表示されておりますよ!
前回と同じく、作者が余計な口を挟むのは興醒めなのではないかと思って、ご挨拶を書き込んだ以外はじーっと黙って視聴しておりましたが、画面のこちら側ではずーっと顔がにやけっぱなしでした。
もうとにかくベルノさんの助祭長が渋カッコイイんですよ!!! イケオジというかイケジイって感じで、こんな百戦錬磨なツワモノ相手じゃガーランも勝てんわなあ、って思いますね!!
言い負かされたガーランのやさぐれ度合いもまたイメージどおりで、「これがいわゆる『原作で聞いた声』ってやつ……!」ってなってました。
舞台背景や世界設定をいかに「説明」ではなく「描写」に落とし込むか、が本当に悩みどころなんですが、情報の出し方や言葉選びをベルノさんやリスナーの皆さんが褒めてくださっているのを聞いて、嬉しさに身悶えしておりました……。頑張ってよかったなあ……。
ベルノさん、貴重な機会を、素敵な時間を、ありがとうございました!
一箇月ちょっと前のことですが、小説発掘VTuberの
夜見ベルノさんに、「
アルノルド・サガフィの帰郷」の読書実況をしていただきました。
現在もアーカイブで見ることができますので、ご紹介いたします。
◆
【Web小説朗読】 Save Us From Dream 【夜見ベルノ】 アルノルドを読んでくださるのは、この動画内の【ぷち読書実況】のコーナーです。メインのWeb小説朗読が終わったあと、40分ぐらいから始まります。
画面内に小説ページを表示させながら、夜見ベルノさんがリスナーさん達のコメントを交えて、わいわい楽しく読んでくださりました。
作者がアレコレくちを挟むのはアレかな、と思って、じっと黙って視聴していたのですが、つっこんでほしいところに的確にツッコミが入るのが本当に楽しくて、画面のこちら側で大喜びしていました。お褒めのコメントが流れてきた時には、もうもう喜びの舞ですよ。
あと、ベルノさんほんとイケボで、しかもアルとヴェーで声の調子変えて読まれるのとか最の高でした!
放送時間の関係で読書実況が行われたのは全四話のうち前半二話だけなのですが、これをきっかけに読了された方がレビューを書いてくださったり、後日ベルノさんも最後まで読んで作品紹介のツイートしてくださったり、と、幸せの波状攻撃ですよ。本当にありがとうございます!
ベルノさんは毎月23日にWEB小説の読書実況や朗読をする作品を募集しておられます。
それ以外にも
毎日のように興味深い配信を行っておられるので、興味のある方は是非ご覧になってください!
風土記系競作「祝」参加作品の感想、全12作のうち私のものを除いた11作分です。
ツイッタで呟いたものにちょこちょこ手を加えた上で見やすくまとめました。
祝001 「翡翠の子」 いときね そろさん 他の子供とは違う緑の髪を持つ少女ケーニャ。身寄りのない彼女の姉代わりだった娘の、成人を祝う祭りでのケーニャの反応に、「姉」がどんなにケーニャの中で大きな存在だったのかをしみじみ噛みしめた。
自分のことについてさえもどこか他人事で突き放すようだったケーニャの視線が、里の中で暮らすうちに次第に他者へも向けられていくわけだけど、それは同時に、自らの異質さを突きつけられることに他ならなくて、だからこそケーニャは、姉に置いていかれる、取り残されることを悲しんだのだろうな。
里の人々の装いや成人の祭りの様子が、実にエキゾチックでワクワクしながら読み通した。成人の儀である「新しい命を生み出す」といわれる踊りに「緑」の字が入っていることが、ケーニャにとってのさいわいであることを願わずにはいられない。
祝002「卵を抱く」 園田樹乃さん 鉱物から生き物の卵を作る卵屋、その卵が人語を理解するようになる手助けをする語り伽。ファンタジックであると同時に実にセンスオブワンダーを刺激される世界だった。自然保護大臣、むっちゃ責任重大だな!
語り伽である主人公の話の内容だけでなく、その「仕事っぷり」そのものに夢中になって読んでしまった。腕のいい卵屋自体も貴重なんだろうけど、顧客の要求を満たせる語り伽を確保するの、大変なんだろうなあ。そしてやっぱり、独特の世界観の上に立つ独特の社会システムや家族観がすごく興味深かった。
虫の卵とか、無茶苦茶小さいやつを作るの大変そうだなあ、とか思ってしまった。鉱石の大きさと卵の大きさは関係あるのかなあ。名前の挙がっていた鉱石以外も卵にすることができるのかな。ほんと、隅から隅までイマジネーションが刺激されまくりだった!
祝004「祝り女の島」 三樹さん 琉球王国を思わせる島嶼国を舞台に、神の声と信じるものに翻弄される女達の物語。嗚呼、いとも簡単に祝いは呪いになってしまうのか。文字の隙間から森の息吹や潮の香までもが立ち上り、むせかえりそうになる。
情景描写に現れる言葉にあまたのものや思いが仮託されていて、噛めば噛むほど味わい深い。選び抜かれた言い回し、魂を引きつけんばかりの描写、そして容赦のない構成。文章もだけど物語そのものもとにかく濃密で、すごく読みごたえがあった。
最後まで読んで、もう一度最初に戻って、するとそのまま二周目に入ってしまって……これ何杯でもおかわりいけるなあ。ご馳走さまでした!
祝005「出来損ないの精霊の子」 くれはさん 緑の髪を持つ子供は精霊の子だといわれ、名前すら与えられない。そんな世界で人として生きる異質な精霊の子《ラー・ロウ》が主人公。ルビをふられている現地語からも世界観が溢れていて楽しい。これ、日本語対応表を作ったら暗号のお手紙が書けるかも、ってわくわくしてしまう。洞窟の中に街や森があるというのも、幻想的でほんと素敵。
精霊の子が精霊に戻る、森へ帰る、という部分を、素直にファンタジックに読む一方で、頭のどこかが「まさか、もしかして、ってことはないよな?」と囁くんだけど、その揺らぎすらも美味しい。精霊から身を隠すための装身具は、誰が用意するのだろう。そこに込められた思いを、つい考えてしまう。
祝006「〈沼地の民〉の物語」 冬木洋子さん 卵生で幼生時代を水の中で過ごし、夏至のあとの最初の満月の夜に沼から上がり人の姿となる、不思議な種族の物語。一風変わった人々の生きざまを描き出すのは、驚くほど透明感に満ち溢れた筆致。幼生達が泳ぐ様子も陸地で暮らす親達の生活も、ふと(あるいはじっと)見上げた空もまるで幻想みたいに美しくて、でもしっかりとした存在感があって、姉弟がみなもを隔てて語り合うシーンなんて水のにおいすら感じられるほどで、……ええ、色とりどりの花びらが朝陽に煌めくところで泣きましたとも。
物語そのものに情緒を揺さぶられ、「わたしたちは人間の幼生なんだから、大きくなったら人間の大人になるの」という台詞に代表される彼らの常識に思考を震わされ、とても贅沢な読書時間だった! 変態(←動物学的な)の描写が本当にワンダーで楽しかった。
祝007「眼の祝祭」 fさん 神話から連なる隔絶された地《天の柱》に住まう人々の、収穫を祝う太陽祭。祭りの準備から祝祭当日の詳細な描写に心躍ると同時に、互いに仄かな想いを抱く十三歳の少年と少女の初々しいやり取りに頬が緩む。
冒頭の神話にまず心躍り、続く地図、民族衣装、と気持ちが盛り上がりまくった。細部まで緻密に描き出されたイメージを裏切らない堅実な文章からは、人々の息遣いが感じられる。
食べ物等の名前が漢字表記で、ルビが旧約聖書の系譜を感じさせるあたりも雰囲気があってわくわくした。「外の世界の歌」が列挙される場面では、想像力がかきたてられると同時に一気に視界が広がった! 個人的に《在りて在る者》という言い回しがとても好き。
祝008「糸玉の首飾り」 はなふじマディ子さん 人による「祝い」が時に「呪い」となるのなら、それが人ならぬものの「祝い」となれば! 「糸の娘」が人の世から物語を拾い上げる、その目的が祝いの装飾品を誂えるため、という残酷さが素敵。
六つの物語は互いに関係があるように読み取れるが、明言はされていない。父を憎む息子も婚礼準備に勤しむ花嫁も美しい踊り子も、別の世界に生きる無関係な人間なのかもしれない。けれども、そこに繋がりを見出し、描かれた以上の物語を思い描いた瞬間、耳元に「糸の娘」の囁きを聞いたような気がした。そう、まさに今私は、「糸の娘」と同じことをしていたのだ……。
全てを手にした「糸の娘」の手の中で、「糸」達は、それぞれの物語がそれぞれだけのものであると主張する。そのささやかな抵抗に、思わず安堵の溜め息が漏れた。言うて、結局お嬢さんがたはサラッと目的を達成するんだけどね!! 無常! でもそこがいい!
象徴的だなあと思ったのは、異国に嫁ぐ娘に持たせる数多の布を手にした女達のこの言葉。「心通わぬものの手になる布を、身につけるのは恐ろしくはないのかしら?」
これを踏まえて最後の一行を読む贅沢さよ……。
祝009「花降り巫女」 於來 見沙都 さん 都の戦に若者を取られ、近傍の山が噴火し、飢えるばかりの寒村を舞台に繰り広げられる、おどろおどろしい信仰の物語、策謀と裏切りを添えて。儀式の様子といい、意表を突く展開といい、実に劇的!
来訪者に下心があることは早々に読めるが目的は分からず、ただ募るばかりの不安とは別に、村人の側からは得体のしれない何者かの気配を常に感じていた。山へ向かう踏み固められた道は、その複雑な軌跡に意味があったりしないだろうか。恐らく全てが御一ツ様に捧げられるべきものなのだろう。
飢えを退け痛みを癒すという祝いの花について、最初はすごくメルヒェンチックに思っていたけれど、今は……なんとなくちょっと距離を置いておきたい気分がしますね……。
そういうつもりだったのか、からの、エッそうきたか、からの、そういうことかー! の流れが気持ちよかった!
祝010「最後の魔法使いの弟子」 八雲辰毘古さん 高度な魔法技術で栄えた帝国が滅び、魔物の群れが跋扈する世界、不思議なちからを持つ旅人と、旅人が拾った少女との、長くて短い旅の物語。旅人の心を表すかのような重い筆致が格好いい。
旅人とともに暮らし、言葉を教わり、生きざまを見て育った少女が、やがて自立心(と恐らくはささやかな反抗心)から旅人と袂を分かったこと。そしてかつて大きいと思っていた背中を矮小に感じた瞬間の彼女の心の痛み。きっと彼らの間には、師弟という関係ばかりでなく親子にも似た絆もあったのだろうな、と思わされた。だからこそ、旅人と少女のさいごのやりとりが、胸に突き刺さる……。
ところで王様、食えない感じが物語の登場人物としては結構好きかも。魔法文明崩壊の顛末は、私も是非とも知りたいところだ。「座ってりゃなんでも持ってきてもらえると勘違いした連中」というフレーズには、とても中二ゴコロがくすぐられましたね!
祝011「アルマナイマ博物誌 逃げた刺青」 東洋 夏さん 辺境惑星アルマナイマに住む海洋放浪民セムタム族の成人の儀。見届け役として参加した汎銀河系人アムが目にしたのは、民族色豊かな儀式と、逃げた刺青。逃げた刺青(復唱)。もう、このパワーワードに心が鷲掴みですよ。
刺青が逃げるなんて、流石にアルマナイマでも前代未聞。珍事とまで言われる事態におっかなびっくり捕獲に乗り出して、いざ逃亡者(者?)とご対面、という場面、一連の出来事に心からたまげるアムを尻目に、刺青を逃がした本人は「すげえ、格好いい!」ですよ。この感覚というかノリの差が実に楽しい。
アルマナイマを深く愛し、セムタムの民に敬意を払い、彼らの流儀に則って親交を結ぶ、――彼らの世界の外からやってきた言語学者、というアム博士の立ち位置の絶妙さ。彼女のお蔭で読んでいる私もワクワクしどおしだった。彼らのことをもっと知りたい、と思わずにはいられない。
祝012「彩りの春が咲いたなら」 中原まなみさん 少しずつ白化する世界が十二年に一度色を取り戻すという「本物の春」を目前に、祝祭の主役である「咲の巫女」を巡る少女達の葛藤と友情の物語。春を迎え世界が色づくさまは、まさに圧巻!
「色抜け」を身に受けた者の悲しさやつらさが語られはするが、世界が色を失っていくさまは基本的に淡々と記されていて、そこに人々の無力感が感じられて切なくなる。逆に、神子と巫女の候補生達に向けられる期待はいかばかりか。十二歳という多感な年齢では、そりゃ澱んだりくすんだりもするよね……。
モノトーンの世界に色が戻ってくるシーンは、本当に鮮やかで華やかで、何度も噛み締めるように読み返してしまった。ご馳走さまでした!
(ところで、瞳が「色抜け」すると、パッと見、全部白目に見えるのだろうか)(「恐ろしい子…!」ごっこができるな、とか思ってしまった私をお許しください)
本当に、どれも好みドストライクで素晴らしい作品ばかりでした。風土記系ファンタジー万歳!
ここではないどこか、を克明に描いた物語、是非皆さんも読んでみてください。
【関連記事一覧】
「渡座の祈り」「渡座の祈り」こぼれ話ツイートまとめご感想記事のご紹介:渡座の祈り風土記系競作「祝」 参加作品の感想
一つ前の記事でも触れましたが、
風土記系競作「祝」に参加した「
渡座の祈り」の、読み応えたっぷりのご感想を
八雲辰毘古さんが書いてくださいました。
◆
【異風祝感想 #1】片手を握れば拳になる。両手を合わせれば祈りになる。 ~那識あきら『渡座《わたまし》の祈り』を読む 記事のタイトルからして、無茶苦茶格好よくないですか? すごいなあ。
自作に対するご感想というだけでも幸せなのに、読み物としてもボリュームたっぷりで面白いという素晴らしさ。この記事が読めて本当に良かったです。八雲さん、ありがとうございます!!
普段、私は
角川類語新辞典とWEBの
連想類語辞典の二つを主に活用しているのですが、今回は、
現代語古語類語辞典にもものすごく助けられました。
特に、「掌」。「祈る場所」の名称を探すにあたって、場所、集会所、集まり、拠り所、……と、思考を飛ばしたり広げたりしながらページを繰り、なんやかんや悩んで最終的に「掌」という言葉に至ることができました。舞台立ての根幹に位置するこの概念を言い表すことができたからこそ、書けた物語です。それに注目していただけて、本当に嬉しいです。
八雲さんは、拙作の他にも、noteに風土記系競作企画「祝」参加作へのご感想をまとめておられます。
→
世界の裏側を「掻く」〜異世界風土記企画「祝」の宣伝 どれも、深い考察と愛に溢れた、読み応えのある記事ですので、風土記系ファンタジーが好きな方、
風土記系競作企画「祝」をご覧になったあとは、是非訪れてみてください。
【関連記事一覧】
「渡座の祈り」「渡座の祈り」こぼれ話ツイートまとめご感想記事のご紹介:渡座の祈り風土記系競作「祝」 参加作品の感想
ようやく!念願(?)の!
覆面作家企画8後書きテンプレートとまいります!!
予告どおり長いです。でも、ここまで長くなるとは思っていませんでした。
覆面作家企画8の
掲示板に書き込ませていただいた返信を、記録がてらこちらにも転記しておきます。この一箇月間、掲示板に書き込んだ方が私以外に誰もいらっしゃらないので、こうやって一箇所にまとめたほうが見てもらいやすい&探しやすいかな、とも思って。
こうやって一箇所にまとめるにあたって、それぞれの書き込みからご挨拶の一文を省かせていただきました。悪しからずご了承ください。
皆さんの感想&推理記事にリンクさせていただいたのは、私が思い立った時に読み返して幸せに浸るためです(正直
あと、私の短編から企画を知ったという方にも、この覆面作家企画の楽しさを手軽に追体験していただけたらな、と思って。
アッ、しかし、リンク先のご感想の前に、まずは
こちらから参加作をお読みになることをおすすめします! ネタバレが含まれるご感想もありますので。
(そして、我がEブロックをお楽しみいただいたあとは、是非とも他のブロックもどうぞ! どれも6000字までの短編で読みやすいですし、なにより、本当に面白い作品ばかりなので!)
それでは、拙作、E07「楽園の手」にいただいたご感想へのお返事です。
書籍

『リケジョの法則』
¥647+税
発行:マイナビ出版
電子書籍近刊

『工作研究部の推理ノート 七不思議を探せ』
¥550
発行:パブリッシングリンク
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